胃カメラと精神安定剤

時は2000年、ニューヨークのアッパーイーストにあるアパートで単身赴任中。眠っている間の無痛内視鏡検査というのを体験した。名医と評判だから信頼して受診したが上から下からやりたい放題でも全く分からない不思議なやつ。でも快感を味わったのは事実である。大病とかしたことがなかったので、全身麻酔による長時間の施術後に見ざめた時の不思議感と同じと推量している。酔っぱらって記憶が飛ぶ経験はなんどもしているが、その後の自嘲的不快感はこの場合何もない。そして2002年に帰国。インプラントの最新手術を受けて同様の快感があった。出始めのころ受けたインプラント治療は強烈な部分麻酔をしても痛さがあって体に大きな負担があったが最早過去のものになっていた。正しくは麻酔ではなくニューヨークの内視鏡と同じで強い精神安定剤を使う。日本でも胃カメラは今や無痛での選択肢もあるが、自分は敢えて苦しみながらもライブでモニターを見ることにしている。胃腸に自信のない自分として、事後に写真で深刻な結果を説明されるよりは自分の非をこの目で見たかった。苦しんで受診することで心の折り合いをつけたいのかもしれない。犯罪者が敢えて苦しんで罪を償う心境に似ているのかな。ところで、インプラントの手術の後、予定より早く目が覚めたようで、女性スタッフたちが近くで、’このおじさん、優しそうな顔して眠ってるね’ていうのが聞こえた。黙っていた。今思えば’ありがとう’なんて言ったら面白いことになっていたのにと、いつもながらの後悔である。そんなことだから’貴方はおもしろくない’なんて言われるのでしょうね。

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(暇つぶしに楽しむことができる。何度やっても飽きないのが不思議なパズルです。

来客にも好評です。)