居眠り

66年と5か月生きてきてあらためて振り返ると、自分の居眠りの原因は消化器系と寝不足系に分類される。長年付き合ってきた胃下垂と最近加わった加齢による萎縮性胃炎。胃の性能が良くないので、食後に血液が総動員される。結果脳への血流が極端に落ちる。そういえば、学部では毎年米国の経済学者を招いて公演があった。大講義室に500人の聴衆。通訳なしで内容も最新のものなのでとっつきにくい。しかも昼下がりと三拍子そろって居眠りしないという選択肢はないやろ。あっという間に拍手が耳に。この時の不甲斐なさは二日酔いのそれと言い勝負です。50を過ぎてひどくなったのが加齢による連続睡眠時間不足。午前中に家事とか、スイミングを終えて、午後のひと時、セットしてあったビデオを見ようとフィルターでコーヒーを入れるが、大抵ドラマのあのクライマックスシーンに飛んでいる。録画だから見直すこともできるが、なんとも情けない。能楽に邯鄲という曲があるが、これはお昼寝の間に皇帝になった夢をみる。大統領、お迎えに参りましたという映画みたいな。また、浦島太郎もあれも夢のような竜宮城でのひと時がある。めったにできない経験。人生塞翁が馬で終わりよければすべてよしと言うが、終わりもだめならどうしようもない。それなら邯鄲や浦島太郎のように人生の中間に夢のようなひと時があるだけでも十分でなないか。自分にもボンドガールと過ごすひと時があれば終活が華やかに。梅雨寒のあとのこの猛暑。真冬の出張でシンガポールの空港ビルを出た瞬間のような負担がのしかかる。頭もからだも朦朧状態に。自然スーッと昼寝がはじまり、あっという間に夕方に。終活の貴重な時間を無駄にしているようで。でも落ち着け落ち着け、体を壊したら終わりぞ。これでよいのだ。ゆっくりいこら。

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(焼き物が趣味の友人から。上が傘立て、結婚祝いです。下が新築祝い。花器でしょうね。)