コンプレックスのかたまり

女子大との合同合宿で急接近した娘をコンサートに誘った。往年のフォークソングです。自分は良く知らなかったのですが、当時かなり人気の人だったので喜んできてくれた。コンサート前におなかを満たそうと喫茶店ナポリタンを注文したのですが、彼女はコーヒーしか飲まない。お口に合わないのか。ここでその日最初のプチコンプレックス。帰りは自然な流れで家まで送っていったが、そこは甲子園口の邸宅街。家の前まできて誘われたがその刹那、体が止まった。気後れだった。聞けばハリウッド映画関係の社長令嬢らしい。今週末はちょっとシンガポールだとか。当時の自分にはまったく遠い世界だった。それから10年、こんどは東大法学部卒の部下。彼女との会話に時々自分には聴いたことのない言葉やフレーズが出てくる。入電したテレックスメルセデスとあって、自分はベンツのことだとわからなかった。彼女は知っていた。もし今なら、あっさり何それっと、なんともないが、その時は頭の中がコンプレックス細胞でパンパンだった。悪気はなかったのでしょうが、ある晩彼女にコンプレックスすごいねと言われメガショック。図星だ。高田馬場駅すぐそばの洋食屋が彼女のお気に入りの場所らしい。ビーフシチューを同じスプーンで味わった時でした。あの時素直に神対応していたら、significant other になってたかも。そこが自分の限界?心をひらけなかった。でもその時はそれでも楽しかった。充実していた。それが青春かなと思う。今はコンプレックスの悩みはないが、ときめきがない。あのときめきはもう来ないのか。いくら高くても注文するのに。完敗だったが戦利品はあった。彼女は本を楽しんで読むきっかけをくれたのだ。英国の売れっ子作家の翻訳もの。文庫本を貸してくれた。読んでみないって。下働きの爺さんをえげつなくからかった能楽の恋の重荷、綾之鼓の女御とちがって優しかった。。年を経るとともにコンプレックスや気後れを感じなくなっている。終活のThe endが近づいているのでしょうか。

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(アゲハ蝶の羽化。隣の家との垣根で発見。マックスとチョコとの毎朝の追っかけっこのご褒美でした。)