深夜の長電話

携帯電話など世の中にはなかったころ、深夜に長電話するのが自慢な時代だった。女子大の能楽部の流友と一時期ときどきやっていた記憶がある。内容は全く覚えていない。おそらくは今でいうガールズトークやチャットのような軽い内容だったにちがいない。それにしても1時間、よくキープできたものだ。青春より以前の子供っぽいにおいがする。毎週スポーツクラブでグループレッスンを受けているが、男性が同世代の高齢の女性とよくしゃべっている。たわいもない内容に聞こえるが、自分にはそれができない。まもなく啓蟄、彼女の誕生日。卒業してからは数年間、おめでとうだけの短い電話をしていた。懐かしい。真面目なのか不器用なのか、内容がないとクラスメイトに話しかけられない。自意識過剰かも。自分は人より体力が劣る、自信がないのでスキルでカバーしようとコーチの指導に集中していて、クラスメートとのチャットが煩わしい。だけど、うらやましくもある。友人を酒飲みながら深刻な話や中身の濃い話題ばかりしているわけではない。考えないようにしているが、考えてしまう。手に負えないこんな自分に救いの手をです。

(やっと咲いてくれた。これだけで終わらないでほしい。他の球根も続いてほしい

 のに。)