電気のスイッチ

夜中のトイレは面倒くさい。だからできるだけシンプルにと、電気も付けずに数歩、引き戸脇のスイッチに肩が触れた、というより、左右の揺れの勢いで押えてしまったのだ。その刹那リビングの大きなランプと廊下や階段のダウンライトがいきなり明るくなった。スイッチの5分の3が一斉にオンになったのだ。アッとびっくり、焦り、そして思い出した。二十年前のお宅拝見番組、我が家にやってきた撮影を思い出した。まさにこのスイッチだ。寝室の電気はどれかと当てずっぽうで二つ押してもつかなかった。そりゃそうだ。単身赴任中に完成した我が家に戻った瞬間だった。NYから帰国した日に家の玄関でTVカメラが待ち受けていたのだ。取り敢えず荷物を置いて着替えにと二階の寝室に向かった時のことだ。撮影隊に、そんな言い訳したが、その部分は没にならずにしっかり映っていた。このシーン、やらせでも演技でもないのに結構受けたようで、番組を見た人たちからのコメントにはそのシーンが必ずあった。放映があった翌日社内で一躍有名人になってしまった。テレビの力はすごい。ネガティブなことだとダメジははかりしれない。自分史上大きな出来事だった。この先の終活中にもう一度世間から注目をあびるとしたら何があるだろうか。期待ある反面怖くもある。

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(落ち着いてみれば、場所が書いてあるのに、撮影の時はそれどころではなかったのでしょう。このダウンライトも点きました。)