姿勢

知り合いのマッサージ師に、猫背は治らないからねと言われ、本当にそうだとしても言い方もあるでしょうにと、カチンときた。その後しばらく落ち込んでいたが、まもなく街角の整体チェーン店では違う説明を受けて救われた。デモ用のスケルトンを手に持って、骨格そのものはクニャクニャで筋肉によって支えられている。筋肉をほぐすことによって、均整がとれ、肩こり、頭痛も解消し、猫背も治るのだと。もっともだと思って2年ほどその整体に通ってわかったことは、施術直後では効き目はあるが翌週の施術までには元に戻ってしまうということだ。商売優先で次の施術までにリバウンドするマニアルになっていると疑いたくなるほど、お見事だった。そこで良い姿勢を施術なしで長く保つ方はないものかと。スポーツジムのインストラクターが言うには常にお腹をへこました状態で顎を少し引くとよい姿勢を保つことができると。子供の頃米国人気TVドラマの主人公で医師の後ろ姿は猫背、頼もしくかっこいいと思って見ていたテレビっ子なので背筋を伸ばすことについて特には良いと思わず大人になった。だから筋肉も古い癖がこびりついていて今でも少し気を抜くと姿勢が崩れている。数年前自分より幾分年かさの方と一緒に産別労働組合との団体交渉に経営側として加わることになった。そのお方は交渉会場に入場する時も、座って交渉に臨んでいる間も常に背筋を伸ばしている。どんな場面でも気後れしないのはこの姿勢が一役買っているに違いないと、以後自分もこれにならうことにした。交渉の行方はともかく期間中精神の健康を保ってこられたのも、姿勢に気を配ったからだと思っている。古典芸能の能の謡と仕舞では姿勢は基本中の基本で、これが良くないとスタートラインにつけない。65となった今、改めてその効能を実感している。先ほどのお方、スタンドプレーが多いために仲間内の評判は良くないが自分としては為になったと感謝している。良い姿勢は気後れを防ぎ、テンションを保ち、鬱の解消、胃腸の健康、頭痛肩こりの防止と、悪いことなし。この調子で後期高齢者になってもよい姿勢を保ちたいものだ。

(上:玄関の方のトイレは、ドアを閉めても解放感があります。下:このトイレでは人気刑事ドラマの主人公が携帯で部下と交信するシーンが撮られました。)

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