きつねの尾っぽ

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リンゴの木の根元に何かうずくまっている。部屋の照明を落として、窓ガラスに顔を近づけてようく見ると、犬のものよりふっくらとした尾っぽ。アッ!やばい。犬ではない。映画ジュラシックパークで腰掛けている倒木が動くあのありえへん感覚。今でこそ笑って話せるが、あの時は大慌てでお隣のイギリス人に対応の仕方、動物園に連絡するのか?とマジに相談した。”よくあること、放っておくのね” と笑顔で一件落着。駐在社宅は郊外にあったので敷地が300坪、4Bedのデタッチという日本の30代会社員では夢のようなお屋敷。だだし、若手社員ではガードナーの雇賃は自前なので、庭の手入れも自分でやることになる。庭の半分は芝生だけど、大きな木が何本もある小さな森。狐、タヌキ、うさぎ、りす、それに野鳥たちがやってくる。すぐ大きくなる木は枝も柔らかく、太くてものこぎりが楽であるが、もとからの大木は硬い。家の前庭は一本の桜を中心にロータリーになっていて、日本の一戸建てが軽く収まる規模感です。こんな経験日本に帰ったらできないと、張り切ってガーデニングセンターで大量の苗木、球根を買ってきた。ついでに美しくなった前庭の写真を家主に送ったら、こんなテナント初めてだと喜んでくれた。それから10数年。50を過ぎたころ突然やってきた’ハル’、生まれて間もないゴールデン。元々犬さえ怖かった自分が、’ハル’のお陰でようやく動物に親しみをもてたわけで、当時はあんなにいい環境を生かせなかったのが悔しい。乗馬も手軽にできたのに、馬も怖かった。で、乗馬をはじめようと。今なら馬と視線を保つことができると思うので。

(上:ベニスで買ったシャンパングラス、グラスゴーではワイングラス。下:土産物のポスターをクロイドンの職人さんに頼みました。)