一番信じていた人に

最も信頼を置いていた人が実は敵だったと知った時、そのショックは自信を根底から揺るがしてしまう。そして情緒不安定、不格好の自分に負の連鎖が始まる。信じられないほどの金銭と幸福が消えた。信じた自分が大馬鹿で、何とお目出度いことか。だが物は考えよう。一生で一度も信じる人に出会えなかったら、信じている人がいるという充実感、幸福感を知らないままこの世を去るのでは生まれた甲斐がない。結果的にこれによって得られた経験をもとにして、もう一度、今度は深く人生を歩んで行けるチャンスがえられたのである。あのまま満たされていたら今の自分はなかった。イギリスの作家のように100万ドルを敵からではなく、別のところから取り返すこともできる。復讐によって得るものはないのだから。

(上:ことしも咲いてくれた。下:年末の開花に向けて若葉が頼もしい。)