焼き肉店での親の表情

今や我が家のイベントになってしまった焼肉。外ならぬ駅ビルの高級店。親子連れや親子三代の家族、それに会社接待とカップル。その中でも面白いのは親子連れの父親の表情である。着席してしばらくはドヤ顔で、乾杯とかしながら最初に子供に好きなものを注文させるまではよい。そっからだ。一段落後に子供が「追加していい?(高そうなやつを)これいいかな?」ときかれ、もちろんOKだがその顔の表情にかすかなかげりが読み取れ面白い。元気な笑いの裏に潜む不安、ちょっとは親の懐心配しろよ、なんと天真爛漫なとか、そんな思いが伝わってくる。もちろん自分も同じだけと、それはちょっと置いておいて冷静に客観的に観察すると実にわかりやすいではないか。爺ちゃん婆ちゃんたちはそんなのを通り越して、孫の笑顔で満足しているのか本音が見えてこない。会社接待は親方日の丸、カップルはその後の目的が金銭感覚を麻痺させている。焼き肉がなぜこんなに人気があって人々を満足させるのか?幕末のころまで長く四つ足を食しなかった日本人が不幸だったとは決して言えない。ならば社会が成長するにつれストレスが増え、それを満たす力として焼き肉が次第に力をつけてきたに違いない。なんとも皮肉なことではないか。

(毎年のことだが、夏場は我が家の庭に咲く花が少ない。途切れるのではと

 気が気ではない。妻の遺影に供える花が。)