小さなこだわり

コスパを求める生活のなかにもこだわっているものがある。オリーブオイルは少し高くてもイタリアのを選ぶ。烏賊はスルメイカ。正月の祝箸の袋は水引付きのものをと。子供のころの実家では正月の三日の朝、祝箸の袋の底を箸で貫く習わしがあった。その土地に古くから伝えられてきた正月の精進料理、三日の午後からは解禁となり、夕飯はすき焼きだった。その昔村に疫病がはやったので、その戒めとしての風習とか。雑煮は麹が浮かんだ白みそで、肉というものはNG.カツオや雑魚のだしもNG。色野菜もなくほぼ真っ白で不味そうにみえるが、なかなかいける。重箱は5段がさねで、今はやりの通販のよりでかい。だだ、中身が精進料理だから、何をどうやって詰めていたのか思いだせない。裕福ではなかったが、お重と雑煮の黒いお椀は漆器だとおもう。今ほど高くなかったのだろう。実家の姉にまだ捨てずに残してあるか探してもらっている。塗りなおして、正月の飾りにしようかと。サイズが大きいので今や実用的ではないからだ。こんなことですこしでも昔の面影をのこして、子や孫につたえたいと思うようになってきた。年だねといわないでください。なかなかできない、いいことなんですから。

(こんな写真なかなかとれないと思って残しておいた。アップするのを

 忘れていたようです。)