ピーピングトム

正午の時報に間に合った。馬に乗ったゴダイバ夫人とそれをのぞき見するピーピングトムが現れる。このためにコベントリーまでやってきた。だが観光客の主な目的は夫人でもトムでもない。トムに至ってはお土産物もない。確かにピーピングトムは女性の敵、ユーモアにも言わない不愉快で遠ざけたい存在なのだ。そんなんで、初外地ロンドンの職場で着任早々に付けられたトムというニックネーム、有難くは思っていない。コベントリー、ここはイギリス人にとっての広島なのです。ミュージアムの展示も、この町の繁栄に貢献した夫人のことよりも、大戦時の空爆インパクトが大きい。30年前、息子をサマースクール先に届けた帰り立ち寄った時の記憶は薄っすらとよみがえるが、時計台しか覚えていない。なぜなのか。おそらく当時はまだパソコン検索という言葉すらなかった。釣り人形TVドラマで腕時計の画面をみて通話する様も遠い未来のことと誰もが思っていたのです。今なら否応なしに様々な情報がやってくる。間もなく三時。おそらく次訪れることはないと、もう一度二人の登場を見てロンドンに引き上げた。廃墟となっていた大聖堂に寄贈されてあった像に

f:id:toyotac:20190614174542j:plain

f:id:toyotac:20190614174756j:plain

同じものが広島にあると書いてあった。10月に厳島神社の観月能を見に行く。平和公園でこの像を見つけよう。二度目のコベントリーは自身の中の位置づけに深みと味わいをプラスしてくれた。そのきっかけがトムならば、イギリス人の同僚に感謝です。

(上:ピーピングトムものは買えませんでした。昔買ったネッシーです。下:左端のクマさんが英国製です。ちなみに中央が豪州、右がマレーシア。)