銀座のブリちゃん

アッ、ブリちゃんだ。ドアを開けるとすぐにカウンターまで見える銀座7丁目の小さなバー。ママと常勤のシオリちゃんが迎えてくれる。クラブと違って座席にはつかない、カラオケとカウンター越しの女性と会話を楽しむお店。ブリちゃんの曲をフルバージョンで歌ったのがきっかけで名付けられた。10年ほど通ったが、二年前に突然ママの自己都合とかで閉店になった。この店初めての連れが先ほどから怪訝な顔でいると、ママがじゃああれ歌ったらわかるからと、いきなりカラオケに。ボトルのタグもブリちゃん。1999年、そう2000年問題真っただ中、ニューヨーク勤務となり、単身のマンハッタンライフを癒してくれたのがブリちゃんのCDだった。川向うまでの車通勤の間、いつも口ずさんでいた。HBOでライブを見たことはあっても、出かけて行くほどではなかった。マンハッタンですから他にやることはいっぱいあるし、仕事の方も責任重い年代だったので。ところが、最近もう少しで生ブリちゃんと遭遇だった。二月に次男の付き添いでラスベガスに行くことになり、いろいろ予備知識を仕入れてたところ、思わぬチャンスがやってきたのだった。久々にブリちゃんラスベガス滞在公演のニュース。不思議な縁を感じた刹那、付き添いどころではなくなった。日程を微調整、シアターと同じホテルを選択。YouTubeでヒット曲をおさらいし、人目もあるのでグッズがたくさん入るようにスーツケースを新調したり。で、テンションが盛り上がり調子の矢先、公演延期の発表、チケット業者からも払い戻しのメール、父親の看病のためという。歌舞伎役者は舞台優先で親の死に目にも会えないが、POPSと古典、合衆国と日本、国民の気質の違いだなと。延期は残念だけと、そんな状況でライブしてもらってもこちらも辛いから、これで良い、しょうがないか。逆に次絶対行ってやる、生ブリちゃんを見るだけに飛ぼう、という気持ちが強くなった。火が付いたというか、アンチエイジングのアドレナリン分泌で結果オーライ、塞翁が馬に。とりあえずは、代わりのアトラクションを物色中。本音は、それにしてもついていない。AP電を見た長男もラインで同情、いやこれは半分冷やかしですね。残念、残念、残念じゃ。まだ引きずってますよ。

(上:次男のドラムセットのすぐ脇に、半畳板敷が地下室の謡練習施設。 下:ラスベガス行きのために新調。)

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