消せるボールペンの実験

消せるボールペンの下限温度はマイナス二十度と聞いた。オーロラ鑑賞ができるイエローナイフは2月の気温、マイナス二十度から三十度。それなら消したボールペンの文字が現れるか試してみようと実験用紙まで作って用意したのに、生憎現地は温かかった。滑走路が白く凍ったくローカル空港に真夜中についてからチェックイン。遅めの朝食をとって街のメインストリートまで散歩に出かけた。見上げたビルの電光掲示板の表示はマイナス十五度。脳細胞が極寒の地と思いこんでいるので温かささえ感じた。晴れだと放射冷却で冷えるらしい。曇りだから冷えない。ツアー窓口の親父さんが、気やすめに若干晴れ間も期待できそうなどと言ってくれたが。残念、夜になっても晴天なら降ってくる来る星がみえない。それでオーロラがダメなのだ。理屈としてはわかるがついていない。実験もできない。何というおもてなしだ。死に土産に踊るオーロラを見てやろうと思っていたのに。薄っすら白い、通の方たちがオーロラだというのが見えたには見えたのだが、そんなのは見たことにできない。高感度カメラで撮影したのをみせてもらったが、白ではなくて緑色をしていた。動かなくても肉眼で緑色なら得心できたのに。マニアの方のご説明では雲のせいで届く光が弱くなり、肉眼では碧ではなく白くみえるのだそうだ。決して安くないレンタルの防寒着が重く、春になって重く感じるコートの不快感が傷口に塩を塗ってくれる。それにしてもこの二三年のお出かけには不運がつきまとっている。曇天、雨、台風、火事、不幸、直近では新型ウイルスの影響が予定通りをさせてくれない。何と贅沢な、それでも普通に生きているだけで幸運と思わなくてはバチが当たるのでしょうか、かも。

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(15年前に植えた桜。二年目に一度だけ咲いて以来、ご無沙汰の桜。やっと今年咲いてくれた。どうしたことか。自分にも花が近づいてきた兆しかな)