てっちり、まむし

安くてうまい大阪の名店がコロナ禍で消えた。東京のフグがなぜこんなに高級料理なのかと、関西人なら皆不思議に思う。昔からある大阪南のてっちりは大衆料理なのだ。その名店がなくなった。懐かしい思い出の大きなフグの看板がおろされたのだ。そしてもう一つ、うなぎの名店が閉店、いや、していたのだ。12年も前のことなのに、今まで知らなかったのはお粗末というか薄情だと思う。子供のころ年の離れた兄ちゃんがここの100円弁当を買ってきてくれたのを覚えている。白寿で亡くなった母がここのフナのあらいが好きだった。川魚の臭みがないと言っていた。母のことを偲んでそんな話でもと姉を誘ってお店の前迄行ったのに。チン。あるべきところにあったのは土産物屋だった。ネットをもっと詳しく読んでいればよかったのにと後悔しても、遅い。表面がパリパリのあっさりしたこの店のまむしをひさしぶりにと思い描いていたのに残念でならない。古いものが消えないと新しいものができない。古いものが生き残るには新しいものを取り入れないといけない。伝統芸能のようにそのままではだめなのだ。自分も年をとって消えてゆく。それでよい。大阪のてっちりとまむしは、意固地に古いままにこだわったのかも。

f:id:toyotac:20210115154116j:plain

f:id:toyotac:20210115154156j:plain

(この兎のマークわかりますか?マンハッタンのピアノバーの記念品です。Tiffanyの品です。ジャスミンの花をテーブルで咲かそうと、このグラスを思い出しました。)