百万ドルを取り返せ

ご存知あの英国作家のベストセラーである。小説のストーリーは金銭詐欺のリベンジものだけど、実際の彼はこの小説の印税で詐欺の被害額とほぼ同額を回収したのだ。やられたらやりかえす復讐というものからは何も生まれない。まさに彼は理想的、スマートな穴埋めをしたのだ。さて自分はどうか。父から相続した土地の売却で二社を競わせ、一日の間に値が吊り上がり、一億膨らんでしまった。ところが、小説も顔負けの詐欺にあって1.5億円失った。なんとか0.5億は取り戻せたが、差し引き百万ドルの半分数十万ドルは取り返せなかった。それなのに自分としては、その経験は一億円以上に値するほど自分を高めてくれたと思っている。人間らしく生きるという代えがたい目標を得たのだ。だから詐欺の加害者を恨んではいないし、むしろ感謝している自分が今ここにいるのだ。お金を取り戻せない言い訳、折り合いをつけているだけかもしれないが。世間は自分のこと可哀そうとか、馬鹿だねとか思うだろうが、コテンパンに騙されたのにどういうわけか心は満たされているのだ。おひとよしもいいとこだ。でも、それでいいと自分では思っている。だからこのこと誰にも言わずに墓場まで持っていこうと思っている。それでいいでしょう?

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(まだ詐欺にあうなんて全然予想もしていない頃にロンドンで購入。英国勤務の記念にと奮発したカトラリーチェスト。銀のカトラリーはこうしておかないとすぐに変色してしまいます。)