合ハイ

白寿が過ぎて6日後に亡くなった母の葬儀で実家に帰る途中、通っていた高校の下車駅の風景が見えた。元々ショボかった北口が、半世紀たったのにほぼ昔のまんまだった。ちょうど新横浜の北口のように、表の繁盛ぶりとは想像もつかない寂しさだ。季節は秋だったか、今や死語になっている合同ハイキング。合コン、街コン、とかとかの草分け的存在。近づきたい女の子を誘う口実にと吹奏楽部の先輩が企画してくれたのだ。で、勇気を振り絞ってお目当ての子に電話したら、二つ返事でイエスだった。うれしかった。ところが当日、ハプニングが起きた。彼女を誘う緊張でぽーッとして集合が北口だというのをきっと言えなかったのだと思うが、しばらく辛い時間があった。誘えなかった?ドタキャン?とかみんなの視線が冷たかった。すぐ南口を探しに行かなかったのもその時の自分の余裕と冷静さの欠如の何物でもない。そして、みんな先に行ってしまった。ならダメもとでと行ってみたら南口の雑踏の中に彼女を見つけた。白っぽいタートルにボトムはピンク系のパンツ、なんとも愛らしいいでたち。携帯がある今なら起こり得ないことだ。それからみんなに追いつこうと速足で歩いたのだが、道が違っていたのかどうかわからないが、昼時になっても追いつけなかった。仕方なく少し禿げ上がった丘に登ってお昼にした。合ハイが図らずもデートになってしまった。ラッキーと思いきや、この時もおしっこが邪魔をした。とてもじゃないが立ちションなんか気楽にできる相手ではない。ごまかしごまかし下山した。ラッキーとお粗末が入り混じった経験でした。今年は4年に一度の学年同窓会がある年で、楽しみにしていたのが、COVID19で一年延びた。彼女に会えるかと待つ楽しみが一年延びただけ、いや其の一年で別の楽しみがあったら同窓会も興味が薄れてしまう。どっちも捕らぬ狸みたいな複雑な気持。まあ、待ってみましょう。

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(今年も元気よく咲いてくれた。合ハイで行った山の草花、全然記憶にありません。)