まだ管理職になる前だったか、若い社員に先輩として仕事を指導していた時のこと、私は学校の先生に向いているじゃないかと言われたことがある。教え方が上手かったのか、はたまた会社員に向かないから、出世はしないと言いたかったのか。その時は深く考えなかったので真意を確かめもしなかった。私に上昇志向を感じないのか、欲があるように見えないのか。私をそんな風に見た可能性は十分にある。ロンドンで付き合いのあった弁護士と何十年かぶりに再会して飲んだ。昔話で盛り上がってきたころにその先生は、もう年だからそろそろ引退しようと思うとおっしゃった。どの程度真面目な発言かわからないが、定年のない職業がうらやましい。もったいないから続けるべきですとつい力が入った。時代的に自分は平均的な価値観だったとおもうが、いい学校、いい会社、そんなことで職業を選択し、定年を迎えた。自分が働きたいと思う年まで働くことができない。それでもそんなに大きな後悔をしていなのは、自分がお目出度いだけなのか、のんきなのか。それでもいい、自分の人生を全うしようと思っている。
（上：初めて目についた庭のレモンの花。下：庭にバニラ花、今年も咲いた。いい香りがします。）
