吾輩は犬である、名前はハル

享年10歳、雄のゴールデンレトリバー。自分を犬だと思ったことはない。理由としてはほかの犬を見ても吠えたことがないのだ。飼い主はパパではなく長男、買ったのはママ。でも過ごした時間はパパが一番長かった。聞けばパパはそれまでは犬を避けていたのだ。なんでも子供の頃お兄ちゃんが隣の家の犬にお尻を嚙まれて、その傷跡を長い間見てきたと。それがトラウマになっているらしい。この家に来てまだちやほやされている間パパはあまり見かけなかった。距離を置くって感じだった。そんな時期は一年ほどで、最後マデ寄り添ってくれたのはパパだった。毎日散歩に連れて行ってくれた。平日は夕飯後に家の周りだったけど、土日はかなり遠くまで連れて行ってくれた。ときどき犬担当の閻魔様のお許しを得てパパの様子を見に行くと、吾輩と出会ったことがパパの人生に深みを与えたって納得しているのがわかる。最初は吾輩だったが最近は吾輩にそっくりなマックスに向かって感謝しているようだ。でもそれでいいと最近思えるようになってきた。二年後に吾輩の近くにやってきたママは全く関心がないようだ。今でもFクラスの思い出に浸っている。あの遺影と同じように。だけどね、ママが犬を諦めるからってハープを買ったのに、約束を破ったんだ。それがそもそもで、吾輩とパパの関係が生まれたわけなのに。

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(上:吾輩、ハル。下:マックス)