スズメの命

子供のころの悪夢が。普段のようにシャワーのあとリビングでテレビをとダウンライトを灯した刹那、黒っぽい物体が急に目の前に接近し、天上に吊り下げられたランプをぐるりと旋回。スズメかなと感じた。嘘だろう。入るはずがない。待てよ、可能性としてはDIYの犬の入口だが、それはキッチンにある。原因の解明より、先ずは外に出してあげないと悪夢の再来になる。そしたら今度は立ち直れない。十分に老いているから。リビングの窓をあけて出て行ってもらうしかない。その場合庭にいるマックスとチョコが神聖なリビングに侵入してくる。チョコは従順でもマックスは入ろうとして粘るが、まもなく気持ちを察して窓際までで我慢してくれた。先代のハルが和室の入り口で止まってくれていたように。うれしかった。鳥は廊下を通ってキッチンに向かった。やはりキッチンからかと期待したが、すぐに戻ってまたもリビングのカーテンレール近くで羽を休めている。そろそろ終わりにしないとと飛び立たせたら一回りした後姿を消した。窓から出る瞬間はみなかったが。ホットした。頑張った。良かった。と、一息入れたらこんどはマックスが見当たらない。庭にいるのか。いやいない。鳥と共にきえた?昔台風の日に家に侵入したスズメをあやまって玄関の障子と柱に挟んで命を奪った、あの時のスズメの亡霊の仕業か。まだ成仏できずにいるのか。すこし冷静になっておやつを用意したらマックスが現れた。庭が暗くて見えなかっただけなのだ。気が動転していた。これで今晩眠れる。今年はほんとにいろんなことが起こる。いや、この三年だ。コロナもその一つに過ぎないほどに。

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(雨上がりのネジバナ。後方に一二階ぶち抜きのリビングの窓が見える。

 この中でスズメが旋回したのです。)