2020-01-01から1年間の記事一覧

最後の晩餐

すでに死を思うことすらできなくなっていた本人にとってそう特別ではなかったろうが、自分だけは本人への最後の晩餐をと心を込めて正月の雑煮を用意した。こんな顔してくれたことあったかというくらい穏やかな、菩薩様のような表情。微笑んでいるでもなし、…

電子レンジを甘く見てはいけません

もう20年お世話になっている電子レンジから最近変な音が聞こえてきて不気味。。。それで買い替えを決めた。近くにある家電量販店での第一印象は中途半端な大きさなんだなだった。配達と持ち帰り、どっちなのか。店員さんから一通りの説明を受け購入の意思…

ToyotaC

何と読むか。トヨタシーです。訓読み四文字のファーストネーム。アメリカ人にとっても発音し辛い名前。噛みそうでこそばゆくもある自分の名前。子供のころからコンプレックスがあった。勤めていた会社では音読みが通称になっていた人が何人か。自分もその一…

折り合い

ほとんどの人が夢と現実に折り合いをつけて暮らしている。そしてその中に人生の幸せを見つけている。ってセリフを朝ドラで聞いたとき、自分だけじゃないんだと改めて思った。自分の意見を曲げるのでもない、相手に負けたわけではない。前に進めるために合意…

チョコちゃんの独り言 V

私とマックスが遊ぶ中庭が荒れ果てています。二年前に亡くなったママが見たら怒り狂うに違いありません。元々そんなに大したものではなかったけど、全体が芝で中央には球根系のお花が咲いていたのを覚えています。先代のハル君はここへ入れてもらえなかった…

いつかはクラウン

あのCMをやっていたのはいわゆる良き時代だったかと記憶する。原付カブから始まって、カリーナ、チェイサー、ボルボ、ベンツE、ベンツS。気が付いてら’いつかはクラウン’をスルーしていた。実家が狭い路地の突き当たりだったので、とりあえず父親代わりのお…

便器のエレガンス

クリスマスシーズンにFクラス二泊四日で往復したニューヨーク。テレビで見るあのタイムズスクエアはほんの3が月で一変している。歩いて渡ったブルックリン橋の人混みも今は嘘のように橋板が幅をきかしているのでしょう。9.11の時に味わったマンハッタン…

チョコちゃんの独り言 IV

私たちがパパの家にやってきてもうじき4年になります。里親ボランティアさんの家に一緒に迎えに来てくれたママはその後一年くらいで亡くなってしまったので、今はパパ一人で私たちを見てくれている。家事もあるので大変みたい。私たちの居住区のキッチンで…

チョコちゃんの独り言 III

最近パパのお出かけが減った。ご存知のCOVID19の影響で次々に予定がキャンセルになっているからでしょう。退職してからの人生のベクトルとして、人とかかわる機会を増やそうとしていた矢先、出鼻をくじかれたみたいです。パパはSNSで不特定多数の人とコミュ…

チョコちゃんの独り言 II

三週間ごとにシャワータイムがある。一番の苦手だ。パパは好きだけどこの時だけはちょっぴり嫌いになる。お風呂の洗い場で逃げまくってます。マックスはお利口ぶっておとなしくしているようなので、パパの大きな声は聞こえてきません。おやつのビスケットは…

消せるボールペンの実験

消せるボールペンの下限温度はマイナス二十度と聞いた。オーロラ鑑賞ができるイエローナイフは2月の気温、マイナス二十度から三十度。それなら消したボールペンの文字が現れるか試してみようと実験用紙まで作って用意したのに、生憎現地は温かかった。滑走路…

CAさんもマスク

飛行機に乗る楽しさの一つはCAさんとの出会い。マイタイプなら最高です。2020年2月25日、羽田バンクーバー線に搭乗したとたん、アッあなた達もですか。事情は先日行ったデパートの店員さんと同じなんでしょう。一般にマスク美人というように、女医さん、歯科…

印度カレーにはピローライス

やっと会えたね、ピローライス君。まだ現役だった頃、ホテルの朝食ビュッフェに大好きなポン菓子発見、流石お米の新潟や。それ以来の遭遇体験だった。バンクーバー空港の国内線乗客用に設けられたラウンジで驚きの遭遇。印度のカレーとパサパサの細長いお米…

イエローナイフでアイスフィッシング

犬橇とスノーモービルは日本人だけでツアーができるほど人気だけど、犬橇はマックスとチョコに曳かせるようでかわいそうだし、スノーモービルはラップランドで体験済み。フィッシング組は小型のバンに台湾ファミリー、華僑のお姉さん一人と、日本人は自分だ…

記憶

記憶は常に塗り替えられている。VHSテープじゃなくDVDのように。都合よくも悪くも、塗り替えられて、アップデートされる。記憶しているデータの位置が常に入れ替わっているとすれば、相当なエネルギーを知らないうちに消費している。夢は記憶の塗り替え作業…

リセット

現役のときに問題の対応に困って、その分野が得意だという弁護士事務所に相談に行った。弁護士いわく、こじれてしまっているので、一旦真っ白にしてやり直しましょうとおっしゃったのです。リセットです。もう一つ。和解を受け入れるということと、主張を曲…

貴方は面白くない

50歳誕生日間近のこと、地球の裏側から唐突な電話の声、’貴方はおもしろくない’。これが自分だから変えようがない、と返事はしたものの、ぞろ目の66になってはじめて面白くなりたい自分がいたと振り返る。小さい頃からのコンプレックスは自分や家のことを…

進歩と変化

進歩は必ずしも変化を伴わず、変化もまた進歩とは限らない。進歩が良いことばかりとも限らない。これまで良いと思われていたことが、後退を招いたということもある。それは一時期世界的に話題となった。人類が農耕を始めることは進歩の過程として100%肯…

未実現旅行先

ロンドン在勤中に地の利を生かしてヨーロッパのあちこちを家族旅行した。調子に乗って帰国後それを社内報の駐在記シリーズでカミングアウトしたら顰蹙を買った。何しに行ってきたのか。仕事してたのか。だって。それでも、まだ未練があるのが、オーロラ、ト…

アート II

どうしたことか、美術館ではいつもスルーしていた近現代ものをdeepに鑑賞した。昨日のMETで物足りなかった何かを求めていたのかもしれない。作品の前にあったベンチにいつの間にか腰掛けていたご婦人。立ち上がって振り返った私を見た視線がニヤッとしていた…

ロックフェラーツリー

生麦事件のせいだ。急いでツリーにたどり着いたのに消灯後。12月のニューヨークに出張。在勤の方たちとお蕎麦の美味しい日本食レストランで会食。そして酔いが回ってきたところ仕事のことで炎上した。お店の名前にちなんで社内では明治維新の事件名が付いて…

グラウンドゼロ

まだ温かい煙とほこり、言葉のないにおい。その二週間後グラウンドゼロのすぐそばまで行った。マイレージを貯めてFクラスでやってきた妻と貴重な経験をした。空港からアパートに着いてほどなく、妻が私の方をじっと見つめていた。目が求めている。抱き寄せた…