2022-01-01から1年間の記事一覧

シンデレーラ

シンデレラのレーのアクセントと、丁寧に言葉をえらびながらしゃべっているような口元。60年近くを経ても鮮明に覚えている。中学の時の英語塾の先生。高校受験にそなえ苦手な英語の成績を上げるために電車で30分の塾に通うことにした。ただ、なぜその塾を選…

サラリーマンのなれの果てに

未だ果てていないのですが、退職してあっという間に四年が過ぎた今の自分。ときどきこのまま果ててしまうのか。自分は今、何やってんだろう、なんて自問自答する。周囲の訃報の年齢が近いと諸行無常を感じるものの、後がないから怖くないと前向きなあがきを…

優しいウソ

優しいことは常に良いとは限らない。優しいウソは時として残酷である。貴方は優しすぎる、それが人を傷つけることになるのよ、と言われたことがある。古語では優しいは、趣のある、上品だという意味がある。ちなみに英語のkindは、中学校英語では親切一本だ…

一線を越えるということ

ロシアが一線を越えた。もう元には戻れない。終戦となっても。人命を軽んじたことは言い訳できない。一方で、国際関係や社会一般、そして人間関係や日常生活での行動ではこのラインの向こう側は悪いことだけではない。良いことも多いように思われる。一線は…

一番信じていた人に

最も信頼を置いていた人が実は敵だったと知った時、そのショックは自信を根底から揺るがしてしまう。そして情緒不安定、不格好の自分に負の連鎖が始まる。信じられないほどの金銭と幸福が消えた。信じた自分が大馬鹿で、何とお目出度いことか。だが物は考え…

ユーモアが通じませんでした

いつか好きだと聞いていたメロディーのオルゴールを誕生日にプレゼントした。ところが感に触ったようで、突っ返してきた。ユーモアのつもりで、かつて訪ねたコベントリーのピーピングトムからと刻んだのが致命的だと言う。自分の当時のニックネームがトムな…

夫婦の岐路

こんなドラマがあった。あの時が岐路だったと振り返る夫。最終回のシーンである。平凡ながら娘と三人の楽しい生活のなか、妻がある日、人の弱みを握る機会に遭遇し、野望を抱いたのだ。その時が夫婦の岐路だったと。また別の夫婦。夫が土地成金になって間も…

ゴジラ出現

出張で乗ったニューヨーク便でゴジラのビデオ映画を見た。日本の封切り前である。ハリウッド製のゴジラは怪獣より恐竜に近いというのが第一印象だった。その半年後マンハッタンの事務所に勤務することになるのですが、事務所の位置はティファニーやトランプ…

おまかせとおもてなし

次男と二人暮らしの我が家が特別ではなく、通常家庭の料理はおまかせなのだと思う。私の場合いつのころからか自分へのおもてなしメニューになっている。どうせやるなら面倒とか苦痛とかあってはいけない、長続きしたければ楽しまねば、それならば自分の好き…

ウンチ、オシッコのルーティン

間もなく6年になろうとしているこのルーティンは、二週間ほど前からマックスだけとなった。チョコが先日亡くなったのである。台所の奥にある裏口の手前に設えてあるトイレスペース。ここを使わせようと毎朝、マックスとチョコを呼んでお尻のあたりをタッチ…

シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ

必要に迫られとはよく言ったもので、家事をするようになってケーキなどのデザート類、食のなかでは不要不急ものはやらなくなって、昼飯、夕飯に精をだしている。時々思い立ったように、食材に糸目をつけないで、後かたずけしない男の、いや夫の料理とは次元…

こんなこともあるんだねー

年二回の業界ゴルフコンペに優勝した時の周りからのお言葉、忘れることができない。常に社長の代理で参加していた、いえ、させられていた。他の会社の社長様方は月に何度とコースを回っているベテランばかり。社長はそれが嫌だったので私に押し付けていたの…

物を失う時

何気ない日常の中でコンタクトレンズを失う時がある。一通り見まわして見つからない。嘘だろうと何度も同じところを気持ちが萎えるまで探しまくる。きっとどこかに隠れているにちがいない。途中まではそれを支えに頑張るが、見つけられない。きっと想像もつ…

ついにはなびく青柳の

謡曲「船弁慶」のフレーズにある、’ついにはなびく青柳の’。15年待っても青柳はなびかなかった。青柳と思っていたのは、真っすぐに伸びた杉だった。その杉があるときはげしい落雷であっけなく折れ焦げてしまった。それを目の当りにしたのだから、しばらく…

4.5hour

人の睡眠の深さの波は1.5時間で、中途半端なタイミングで目覚めると辛さを感じると言われている。可能なら4倍の6時間としたいのですが、いつのころからか4.5時間がマックスになっている。当然これでは少ないので、現役のころは午後の睡魔が不足を補っていた…

転機の知らせ

妻が亡くなり、ほぼ同時に定年退職して三年、この間に家にあるいろんなものが壊れた。台所、風呂、居間の床暖、この三機のガス給湯器が順番に寿命となり、それに電子レンジ。幸い食器洗浄機とエアコンは修理で凌ぐことができた。新築して20年、よく頑張っ…

ホテル選びの失敗体験

日光、オーランド、ケベック、野田、敦賀、札幌、スコットランド、花巻、裏磐梯、これなんだと思いますか。みじめな思いを体験した宿泊施設。なんせ、自分の家よりもしょぼいのにはがっくりだった。これではせっかくの旅行の楽しみが台無しだ。振り返るとこ…

終わった鉢

お祝い事の胡蝶蘭の鉢、後はどうしているのか。終わった人、終わった鉢、なんとも悲しい響きでならない。部長の役職定年で関係会社に移籍して、そこも定年となった自分。終わった人なのか。そんな思いもあって、会社で一定期間過ぎた胡蝶蘭の鉢や自宅用にも…

車は自分で体洗えない

洗車場のドキュメンタリーで、’車は自分で体洗えない’って言っていたのを思い出す。飼い犬のマックスとチョコに日に二食、間食と寝る前のおやつ、そしてトイレの始末。自分でできないのはどんな気分だろうか。介護される方は有難いと思う一方で、自分ででき…

宣伝と丁寧

日本語ボランティアで最初に担当した学習者がロシア人だった。テキストに出てきた宣伝の意味について質問があり、彼女も自分のスマホでロシア語の意味を確認した時のことだった。良くない言葉だというのです。反政府的な意見を広めるネガティブでデリケート…

偶然と選択のマリアージュ

それにしても航空会社やカードの会員誌にフランス語の多いこと。マリアージュ、オマージュ、オーベルジュ。響きはオシャレでも昭和生まれにはしっくりとこない。終活に入ってからというもの、人生はなんぞと考える頻度が増える。運不運はどうして起こる、神…

魔法にかけられて

昨日珍しく雪が降って少し積もった。二年ぶりのことか。くそ寒いと誰かがメールで語ってた。こんな日は過去の不思議な体験がよみがえる。苦い経験だ。魔法にかけられてたとしか思えない、アンコントロールな行動だ。今ならありえない思考方法でドツボにはま…